広末涼子は大学中退やデキ婚、そして離婚などでバッシングを受けましたが、それをバネにするように演技力をつけ、おくりびとで主人公の悩みになる妻を演じています。
デビュー当時は透明感のある美少女ぶりが注目されましたが、大人の女性に脱皮してからは、おくりびとのような演技力を必要とされる作品に出演が続いています。
おくりびとでの広末涼子は、あくまでも夫に経済的に頼りっきりでありながら、わがままなところのある妻を演じています。
おくりびとの中で驚かせるのは、夫の真実の仕事を知った広末涼子の瞬間のヒステリックな演技は、ファンを驚かせるかもしれません。
着実に演技力をつけて、一番役者が難しいといわれる「普通の人」を演じた広末涼子の役者としてのキャリアは、おくりびとでさらに上がっています。
おくりびとの中で広末涼子の演じている妻は、お通夜・お葬式という悲しみの現場の当事者ではないがために残酷になる役柄です。
なかなか夫の仕事について理解を示さず、逆に嫌悪感をあらわにしている広末涼子の演技はおくりびとの中で「おそらくは自分もそうなるかもしれない」と思わせます。
それだけリアルに「普通の人」を演じながら、持ち前の透明感が損なわれていない広末涼子のおくりびとでの存在感は不思議なものです。
どんな役柄を演じても、透明感が失われないという広末涼子であるから、ヒステリックな演技をおくりびとで演じても、不快感がないのではないでしょうか。
おくりびとという物語の中で、広末涼子の演じる役柄は「当事者ではないからこそ真実を突きつける」というものです。
ですから、おくりびとでの広末涼子の演じた役柄は演技に失敗すれば、ただの「わがままな妻」に陥ってしまいます。
おくりびとについての情報をサイトやブログ、掲示板を使って集め、おくりびとにおいての広末涼子の存在の意味を調べてもいいでしょう。
広末涼子の演じる妻は次第に夫の仕事について理解を示していく役柄ですから、おくりんびとの物語の中で観客に一番近い立場かもしれません。
ただ透明感があって不思議な美しさを持つ存在感だけの女優ではないということを広末涼子自身が証明して見せたのが、おくりびとです。
おくりびとの中で広末涼子はともすれば、「嫌な女」になりそうな役柄ですし、失敗すれば「普通のおばさん」になるような面があります。
しかし広末涼子の最大の魅力である透明感と演技力によって、「観客の視線に近い人間」である妻として、おくりびとの物語で存在しています。
納棺師という夫の仕事に最初は嫌悪感を持ちながらも、次第におくりびとの重要さを理解していく変化を演じた広末涼子の演技力は目を見張るものがあります。
平凡な妻であり、納棺師の仕事に嫌悪感を持っていたのが、おくりびとであることに理解を示し、受け入れる広末涼子は観客にとって近いかもしれません。
納棺師という仕事に対して知識がなく、その存在のやさしさを次第に理解させていく観客に近い広末涼子の妻の存在があってこそ、おくりびとは光るのです。
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