水曜日

魔王は現代が生んだモンスター

魔王で起こった大きな悲劇は、現代ではありふれている事件の一つかもしれませんが、残された被害者遺族には大きな傷を残します。
その事件で受けた心の傷から、無邪気で善の世界に生きていた少年は、魔王になっていくことになります。
いわば魔王は、周りからみればモンスターですが、モンスターにしてしまったのは、やはり人間なのです。
そして魔王というモンスターを作るきっかけになった悲劇を引き起こした張本人は、悔いあらため、やはりモンスターとなってしまいます。
魔王で登場する主人公である刑事も「正義」や「善」に異常に過敏になっているモンスターともいえるのです。
まさしく二人のモンスターがぶつかり合っているのが、ドラマの展開の中でなんとも言えない悲しさを醸し出しているのが魔王です。

魔王では、善のモンスターと悪のモンスターのぶつかり合いがさまざまな暗喩に満ちたタロットカードなどで描かれています。
韓国版魔王ではあまりにも殺人場面が多いため、15歳以下の子供は親が一緒でなくては見られなかったそうです。
それだけ魔王は、悪に誘い込むような魅惑的なモンスターである魔王は、下手すれば現代のヒーローになり得るのです。
魔王では非常に魅力的に、この悪のモンスターが描かれていて、アンチヒーローとしても成立してしまうのです。
少年には酷な大きな悲劇が、少年を魔王というモンスターに変えてしまったということも丁寧に描かれているのですが、それを見落としてはいけません。
なぜ、少年は魔王になってしまったのかというところで、また善のモンスターとなる前の少年が登場しているのです。
魔王についての情報をサイトやブログ、掲示板で集め、自分なりに「善悪」を考えて、魔王を観るのもいいでしょう。
魔王は最初からモンスターだったわけはなく、自分を襲った悲劇が彼を魔王というモンスターに変えてしまったのです。
そしてまたその悲劇から悔いあらため、善のモンスターをも生み出してしまったのですが、それもまた魔王のストーリーの力なのです。

魔王では、二人の主人公がそれぞれ、善のモンスターと悪のモンスターのぶつかり合いが描かれています。
モンスターになってしまった人間は、もはや人間には戻れないのか、というテーマも魔王は含んでいます。
どうしようもない運命に翻弄され、魔王になった弁護士とそれを追う刑事の戦いは、悲しいものです。
魔王というドラマの底辺を流れているのは、癒されない心の傷と悲しみ、そして人間はどこまでモンスターになってしまうかです。
追う刑事は過去の過ちから善のモンスターとして生まれ変わり、追われる弁護士はその刑事の引き起こした悲劇で悪のモンスターとなったという悲劇が魔王なのです。

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